
高齢化社会が進む中、「認知症」や「知的障害」「精神障害」などにより、判断能力が不十分な方が増えています。財産管理や重要な契約などを本人が適切に行えない場合、権利を守るために必要になるのが【成年後見制度】です。この記事では、成年後見制度の基本をわかりやすく解説し、行政書士がどのように支援できるかも紹介します。
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人を法律的に支援する仕組みです。本人に代わって財産管理や契約の締結、介護サービスの利用手続きなどを行う「後見人」を家庭裁判所が選任し、本人の生活や財産を守る制度です。
1999年に介護保険制度と同時期に施行された【成年後見制度】は、大きく2つに分かれます。
法定後見制度
すでに判断能力が低下している人を支援するための制度です。家庭裁判所が後見人を選びます。さらに、本人の判断能力の程度に応じて以下の3つに分かれます。
- 後見(ほとんど判断能力がない)
- 保佐(判断能力が著しく不十分)
- 補助(判断能力が一部不十分)
任意後見制度
まだ元気なうちに、将来に備えて「誰に」「どんな支援をしてもらうか」を契約で決めておく制度です。本人が公証役場で契約を結び、将来判断能力が低下した時に契約内容に基づいて支援が開始されます。
成年後見制度が必要になる場面
例えば、次のようなケースで成年後見制度が利用されます。
- 認知症の親が金融機関の手続きができず、預金を下ろせない
- 介護施設に入所するための契約が結べない
- 悪徳商法に騙され、高額商品を購入してしまうリスクがある
- 施設利用料の支払いや医療費管理を一人ではできない
こうした場合、後見人が本人に代わって適切な判断・手続きを行うことで、本人の権利や財産を守ることができます。
成年後見人の主な仕事
成年後見人には、以下のような重要な役割があります。
- 財産管理(預貯金管理、不動産管理、生活費の支払いなど)
- 身上監護(介護契約、医療機関との連絡調整など)
- 契約締結(介護施設入所契約、医療契約など)
- 法律行為の代理・同意・取消(不当な契約を取り消すこともできます)
成年後見人は、本人の意思を最大限尊重しつつ、必要な支援を行うことが求められます。
行政書士ができるサポート
成年後見制度の利用を考えたとき、手続きや準備は複雑です。ここで行政書士のサポートが役立ちます。
任意後見契約の支援
行政書士は、将来に備えて任意後見契約を結びたい方に対し、
- 契約内容の相談
- 必要書類の作成
- 公証役場での手続きサポート
などを行います。特に任意後見契約は「公正証書」で作成する必要があり、専門的な知識が欠かせません。
成年後見制度利用申立書の作成
すでに判断能力が低下している本人のために、家庭裁判所に提出する「後見開始の申立書」や「添付書類(財産目録、親族関係図など)」の作成支援も行います。裁判所の手続きに不安がある場合でも、行政書士がサポートすることでスムーズに進められます。
定期的な見守り契約
行政書士と本人が「見守り契約」を結び、定期的に本人の生活状況を確認する支援も可能です。これにより、早期に異変に気付き、必要な支援につなげることができます。
行政書士に相談するメリット
行政書士に相談することで、次のようなメリットがあります。
- 手続きがスムーズに進む
成年後見制度の申立てや任意後見契約は専門的な知識が必要です。行政書士に依頼すれば、間違いや手戻りを防ぎ、スムーズに進めることができます。 - 本人や家族に寄り添ったサポート
行政書士は法律の専門家でありながら、生活全体を考えた支援を行う立場です。親身になって相談に乗り、最適なアドバイスを提供します。 - 必要に応じて他士業と連携
ケースによっては弁護士や司法書士、社会福祉士と連携してサポートすることも可能です。
まとめ
成年後見制度は、本人の権利や財産を守り、安心した生活を支える大切な制度です。しかし、手続きや準備は専門的で難しい部分もあります。行政書士に相談することで、適切なサポートを受けながら安心して制度を利用することができます。
将来に備えたい方、ご家族の支援を考えている方は、ぜひ一度行政書士にご相談ください。
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